静岡南高校のリノベーション

ふじのくに地球環境史ミュージアムは、県立静岡南高校をリノベーションしてつくった博物館です。廃校を利用した学校リノベーションは、少子化の進行とともに全国的に増加していますが、そのほとんどは小中学校であり、高校をリノベーションした博物館は大変めずらしい事例です。

  • リノベーション(renovation)とは、英語で「刷新、改造、修復」を意味し、既存建物を大規模に改修し、用途変更や機能の高度化を図り、建築物に新しい価値を加えることです。(参考:大辞林)

静岡南高校について

1983年(昭和58年)
開校
2004年(平成16年)
静岡県立静岡北特別支援学校南の丘分校を併置
2012年(平成24年)
創立30周年記念式典挙行
2013年(平成25年)
3月31日閉校
  • 学校再編統合により、静岡市立商業高等学校と統合しました。統合後の学校は、静岡県立駿河総合高等学校です。

学校記念室について

静岡南高校時代の記念の品(校歌、校旗、年表、ジオラマ等)を展示していました。(令和2年3月閉室。新展示室「人類史ライブラリー」として令和3年3月20日オープン)

リノベーションの概要

レイアウト

エントランス寄りの教室は展示室に、エントランスから遠いが南側で日当たりのよい教室は研究室に、北側の特別教室は温度変化を嫌う収蔵室にしました。


ミュージアム用にリノベーションした部屋

教室を展示室として活用

展示室とするために、天井を外して天井高を3mから3.6mとして空間を広くとり、南面の窓から少し離れたところに間仕切り壁を新設し遮光を行いました。

リノベーション前
リノベーション後

来客用玄関&校長室&応接室をエントランス&展示室として活用

突き当りにあった校長室と応接室を思い切って取り払うことにより、職員用玄関が広くて明るいエントランスに生まれ変わりました。

リノベーション前
リノベーション後

生徒昇降口を展示室として活用

生徒昇降口特有の段差をなくし、全面フローリングを貼りました。合わせて、ファサード(※建物の顔となる正面のデザイン)及び中庭にはフローリングと同じ高さのウッドデッキを張り出し、屋外と屋内が連続する開放的な空間を創造しました。

リノベーション前
リノベーション後

職員室を図鑑カフェとして活用

窓の一部をサッシのない大きい窓ガラスに張り替えることで、駿河湾や南アルプスの眺望を楽しめる展望デッキに生まれ変わりました。

リノベーション前
リノベーション後

特別教室(化学室は除く)を収蔵室として活用

高校の北棟には、物理室・化学室・生物室・地学室・調理室・パソコン室などの特別教室がありました。これらの部屋は、日当りがあまり良くない反面、温度上昇が抑えられ、面積も広いことから収蔵室に改修しました。

リノベーション前
リノベーション後

トイレを解剖室として活用

動物の解体に使用する解剖室は、流しが必要であったため、元々排水設備があるトイレを活用しました。元がトイレだと知ると皆びっくりする位、見事に生まれ変わった部屋です。

リノベーション前
リノベーション後

既存居室の有効活用

ほとんど手を加えず、そのまま使っている部屋を紹介します。「高校」と「ミュージアム」は一見異なりますが、“専門分野や生き方を思考する学び舎”としては同じで、大変相性がよいといえます。

教室を講座室や研究員室として活用

教室はそのまま、講座室や研究室に利用しています。研究室は、1つの教室を半分に区切って、2人で使用しており、一人当たりの面積は33m2と、広さも十分です。

化学室を実験室として活用

高校の化学室は、ガス・水道を完備していて、実験に最適な環境が整っているので、そのまま研修会等に利用します。机・椅子のサイズも高校生仕様なので、大人がそのまま利用できます。

視聴覚室を視聴覚室として活用

10人×10列の固定座席があり、100名を一度に収容できる視聴覚室は既存の暗幕もそのまま利用して、研究発表などのプロジェクターを使ったセミナー等に利用しています。

図書室を書庫資料室として活用

広い図書室は、閲覧用のデスクを取り払ってあいたスペースに追加書棚を増設しました。

作法室を講座室として活用

当時、茶華道などのお作法の授業に使われた30畳の和室は、畳やふすまを張替え、幼児向けやナイトミュージアムなどの講座に利用します。